アトリエについて

 作品作りは、おもに1人で取り組む創作表現です。その為、助け合いやチームプレーはありますが、競い合いや勝ち負けの中から生まれる「自信」や チームの1人として達成できる大きな喜びとエネルギーを体験する事は、あまりありません。

 

 しかしながら“私の関心事”に想像力を働かせて表現し、自分自身の事を考え、友だちや家族、遠い国の事を考えたり、自然や環境の事に想いを巡らすうちに、心の中が美しくなり、「私はこれが好きだ」という ひそかな誇りを持つことが できるのではないかと思います。

 

 

 「作る」ことは「考える」ことであり、 『作品を作ることは 考えかたを育てること』 でもあります。(これは私自身にも言える事であり、アトリエの環境を作り、子ども達と共に創作をしながら、子どもや表現についての研究を深めていきたいと考える日々です。)

 

 そうはいっても 子どもでも大人であっても 表現し続ける事は難しいものです。そのような時、アトリエでは、私たち講師が子どもたち一人ひとりに寄り添い、個性や特性を考えながら「考えるきっかけ」や「表現の面白さ」を そっとサポートしていきたいと考えています。そして、できる事ならアトリエに通ううちに、『自分で考える時間』と『表現の時間』が楽しい習慣となれば良いなと思っています。

 

絵本作家の安野光雅さんと彫刻家の佐藤忠良さんが作られた教科書『子どもの美術』の中に このような言葉があります。

 

この本を読む人へ


図画工作の時間は、じょうずに絵をかいたり、ものを作ったりするのが、めあてではありません。


じょうずにかこうとするよりも、見たり考えたりしたことを、自分で感じたとおりに、かいたり作ったりすることが大切です。


しんけんに、絵をかき、ものを作り続けていると、じょうずになるだけでなく、人としての感じ方も、育ちます。このくり返しのなかで、自然の大きさがわかり、どんな人にならなければならないかが、わかってきます。


これがめあてです。


 これは今から40年以上前の教科書に載っていた言葉ではありますが、今の世の中においても変わらず、これからの子どもたちの未来を考えるべき重要なメッセージなのではないでしょうか。

 

この言葉を 美術造形教室ぷらすあーと の指針とし、子ども達と共に表現を重ねていきたいと思います。


 

【アトリエ環境について】

・環境

「ないものは作る」

アトリエの机や棚など多くのものは、アトリエ主宰こいちが手作りし、壊れたら子どもたちと直しながら使い続けています。

 

「道具・モノ」

アトリエには昔に作られた日用品。現代まで使い続けられてきた「用の美」があるモノを大切に使い続けています。

 

 

「世界のおもちゃと民芸品」

アトリエには日本の民芸品や世界のおもちゃなどがあります。簡素な作りですが、作り手の仕事を感じるため、子ども達の自主制作のきっかけにもなっています。

 

 

「自由制作スペース」

アトリエでは、素材や道具を試行錯誤しながら使い、自主的に表現ができる環境作りをしています。様々な素材や道具は、子ども達を「おもしろがらせて」くれるものではないため、自分から積極的に働きかけ「自分で考え、創作する」という事をしなければ面白さにはなりません。「想像を巡らし、自分なりの道を辿りながらカタチにしていく。」そのことが表現の面白さとなり、生きる力の一助となればと考えています。

 

 

 

「素材」

素材は「木材・加工があまりされていない自然素材・リサイクル素材・リサイクルしやすい素材・過剰な装飾のない素材」を主に使用しています。

 

 

「道具」

道具は「自身の手の力で使用できる道具・仕組みがわかる工具・使い方を学んでから使用できる電動工具」を主に使用しています。